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10 2013

フリーゲーム「箱弐伍遺体」やってみた。その5(終)

フリーゲーム「箱弐伍遺体」の感想第五回。最終回だよー。
ゲームの詳細はこちら。

箱弐伍紹介用画像



尚、本感想文は、洗いざらいネタバレしています。
また、ここで言われていることは全て、私の個人的な主観であり価値観に過ぎません。
私は正しくないし、マジョリティを代表するものでもありません。
予め、ご了承ください。







6 柊千春

最初に一言、言わせてください。

わかりにくい。



えーと、元ネタなんですけど、これもちょっとわかりにくいです。

 変な日記拾った

読みやすいまとめを探したんだけど、あんまりなかった。
住人のリアクションとかがかなり端折られてるけど、上記リンク先が比較的読みやすいと思われ。
個人的には、文字の装飾がちと読みづらいんだが。

んで、千春シナリオに関してはもう一つ元ネタがあって。
つって、読みやすい元ネタ探してたら、こんなん見つけた。

 会社でB'zの曲歌ったらクビになった

ウルトラソウッ!(Hey!)


……おほん。
失礼いたしました。

 人形、洗ってる?

お話ではないです。
ちょっと怖い書き込みって感じ。
短いけれど、インパクトはでかいですね。



ゲームプレイ時に、私はこれらの元ネタは知らなかったんだけど。
シナリオ的には、元ネタの使い方が栄子シナリオに近い。
話の肝は別にあって、元ネタとされる話は演出として使われているような、そんな感じ。
実際には、元ネタを膨らませて話を作ったんじゃないかと思うけど、出来上がった話の中では元ネタが演出程度の位置づけ。

さて、いつも通りあらすじを抽出しようと思うんだが……ちょっと鬱だな。
と言うのも、この話、一番印象薄いんだ。
最初に言った「わかりにくい」っていうのが、その理由の一つだと思う。
でもまあ、私なりに要点を抽出しながらまとめてみるよ。



柊千春の両親は、共働きでした。
帰りはいつも夜遅く、千春は小さい頃から寂しく家で過ごしていました。
生まれつき人より肌が白く、そのことでいじめられたりしていました。
肌の劣等感と、孤独な家庭。
千春は、自分に自信を持てず、自らの存在意味を見失っていきます。
苛烈さを増すいじめの中で、明日を恐れ、自らの生を恐れ。
やがて、幽霊になりたいと願うようになりました。
そこにいるのにそこにいない、空気のような存在。
何も感じず、何も考えない、そんな存在。
千春は心の中で、自らの首を絞め続けます。
早く幽霊になりたい。
そう願いながら。
千春は、いじめに対して無反応になります。
それからいじめは減りましたが、だからと言って何かが解決したわけでもなく。
千春は日記を書くようになります。
鬱屈したものを日記にぶちまけることは、いくばくかの楽しさがありました。
そんな自分の行動を幽霊みたいだと思いながら、それでも、やはり幽霊になることはできません。
寂しさは埋まらず、千春は高校生になります。
高校に入っても、やはりいじめられました。
そんな中、手を差し伸べたのが綾佳でした。
一見千春とは正反対に見える彼女もまた、孤独を抱えていました。
綾佳に強く惹かれる千春。
二人の仲は、深まっていきます。
ある時、千春は自分の記憶に齟齬があることに気が付きました。
二人で過ごした記憶の中に、綾佳が知っていて自分が知らないものがありました。
二人で写真を撮ったという綾佳。
でも、千春には覚えがありません。
現像できた写真を取りに行くという綾佳に、一緒に行くとは言えない千春。
写真を見るのが怖かったのです。
その日は一人で帰り、そしてそれ以降、綾佳は姿を消しました。
半狂乱になって千春は綾佳を探すために街を彷徨います。
何日も風呂にも入らず、心も身体もボロボロになりました。
服くらい着替えないと、と鏡を見た時、幽霊のような自分がいました。
千春は、全てを吐き出すように笑いました。涙を流しながら。
自殺することを決め、遺書を書こうと千春は日記帳を開きます。
黒い鬱屈した感情で埋まった日記帳。
その中から、見覚えのない紙片が零れ落ちます。
見覚えのある字。だけど、記憶にない文言。
いずれも支離滅裂で、意味不明です。
ですが、その筆者は綾佳を知っているようでした。
綾佳が失踪した後の日付に、綾佳のことが書かれています。
そして千春は理解しました。
全て、自分が書いたものだと。
そこまで話して、千春はエレベータの面々に語ります。
ずっと寂しかった。
なのに私は、友達作って楽しそうにして。
だから、私は私から彼女を奪った。
抱えた大きな鞄を開くと、そこには。



わけがわからないよ。

まあ、大筋は理解できます。
でも、そこかしこに消化不良感があるんですよね。
自分で読んでて解釈に困った部分なんかはあらすじには抽出してないんですが。
例えば。
綾佳が千春に問うシーンがあるんです。
いじめに対して、なぜ何もしないのか?
誰かに訴えるでもなく、不登校になるわけでもない。
綾佳の目には、まるでそれがいじめられるために学校へ来ていたように映ったわけです。
これに対し、千春は言葉を返さず、心の中だけで述懐します。

それは私が、幽霊になりたがっていたから。
そのために、敢えて相手の望む反応をしていたんだと。
死に損なって生き続けるのは惨めだったから。

この時点で既に意味がわからないんですけど。
私の中で、「幽霊になること」と「敢えていじめっ子の望む反応をすること」が繋がらない。
多分、千春の中での「幽霊」が何を意味しているのかがわからないから。
あらすじの抽出で私はそれっぽい解釈で書いてますが、実際のところはよくわかりません。
例えば私なら、むしろ無反応である方が幽霊っぽいと思うんですよ。
事実、千春は小学校時代にいじめに対して無反応になった時期がありました。
単純に、「幽霊になること」がイコール「死ぬこと」ではない、というのは、文中からなんとなく読み取れます。
それはとても近いものではあるけど違う、というのがテキストに表れていると思えます。
その辺の私の独自解釈が、あらすじの抽出に出てきているわけですけど。

更に独自解釈を続け、千春にとっての「幽霊」を考えます。
千春は、苦痛を感じる自分を殺したかった。
何も感じなくなれば、もう苦しむことはない。
でもそれは、「死にたい」という気持ちとはちょっと違う。
死にたいわけじゃない。
ただ、苦痛を消してしまいたかった。
それが、「幽霊になりたい」ということだったんだと思います。
私はね。あくまで私が勝手にそう解釈したって話。
ある程度それを裏付けるテキストもあるんですけどね。

なんだけど、この解釈でも「敢えて相手の望む反応をする」ってところと繋がらない。

ここからは深読みになります。

小学校時代、千春は心の中で自分の首を絞め続けるわけですが、そうなる前にひたすら謝っています。
いじめてくる人たちに対して、許して、と。
それはもう盲目的にただひたすら謝るってことをしています。
でも、いじめってそういうものじゃないですよね。
その人が悪いことをしたからいじめるってものじゃない。
だから、いじめは唾棄すべきものなんだけどね。
当然、いじめがなくなるわけない。

私が思ったのは、謝るという行為の背景にある千春の気持ち。
そこには、人との繋がりを求める気持ちがあったんじゃないかと。
本人が何度も述懐していることですが、やっぱり孤独は寂しいんですよ。
いじめられながらも、自分を卑下しながらも、「友達なんかいらない」と強がってみても、やっぱり孤独は嫌だったんですね。

って考えると、高校に入ってからの「敢えて相手の望む反応をする」っていうのは、「幽霊になるため」ではなく、「死に損なって生き続けるのが惨めだったから」でもなかったんじゃないかと。
ただ、孤独から逃れたい一心で、誰かの温もりを求めて手を伸ばしていただけなんじゃないか、と。
謝っても許してもらえない。
無反応では、むしろいじめっ子たちは離れていってしまう。
だから、千春は「敢えて相手の望む反応をしていた」んじゃないのか。

「死にたい」ではなく「幽霊になりたい」というのも、自分の存在自体を消してしまいたいわけじゃないって解釈できる。
死んでしまったら誰からも見えなくなる。
だけど、幽霊ならば、きっとまだそこにいる。
もしかしたら、見える人がいるかもしれない。

とまあ、ここまで深読みしてようやくこじつけられるんですけど、問題はこの後。

綾佳の問いに対して、「それは私が幽霊になりたがっているからだ」と心の中で答え、そして「今だってそう」と続きます。
引用します。

こんなにも幸せな状況なのに、とっても苛立ってるんだよ。

もう一回言っていい?


わけがわからないよ。


自己矛盾がダメって言ってるんじゃないの。
人の心は複雑怪奇。
自分の中でさえ大きな矛盾を抱えるなんてことは珍しいことじゃない。
そうでなくて、千春の心情を追いながら読み進めるわけだけど、さっぱりかわらんのです。
「幸せだけど苛立つ」っていう矛盾自体は問題じゃない。
なぜそういう矛盾が生まれているのかわからない。
もっと言えば、なんで苛立ってるのか全然わからない。

割かし深読みもするし、こじつけみたいな解釈をすることもある私だけど、これはわからない。
それまでの私の読解が、まるっきり裏切られるのよ。
なんで苛立つの?
幸せと同時に不安になるっていうのなら、わかる。
と言うか、そういうことも言ってる。
幸せであるが故に、それを失うことに対して強い恐れを抱く。
これ、ごく真っ当な気持ちだ。
共感できる。
千春が「綾佳の負担になるくらいなら、一人でいることを我慢する」って言ってるのもわかる。
だけど、「幸せだけど苛立つ」は全然わからない。





……と、散々言ってしまったわけだが。
ちょっと読み返してて、唐突に理解した。
わかったわかった。
そうか、そういうことね。
ようやくすっきりした。

何が問題かと言えば、千春自身が「苛立ち」を自分のものとしてすんなり受け入れている点だ。
だから私も、「千春が」苛立っているんだと思った。
違うんだ、これ。
ここで言われる「苛立ち」とか、この少し後で出てくる

頭の芯がきりきり痛んで、反吐が出そうになって。

とかも、「千春」の感情だと思うからわけがわからなくなる。



あらすじにもわかるように書いたけど、この人、解離性同一性障害なんだな。
いわゆる「多重人格障害」。
面倒だからDIDっていう略称使うよ。
交代人格が出ている間は基本人格から記憶が欠落するし、本編中でもそういう風に描写されてる。
だから、千春が基本人格で話している時は一切「もう一人の千春」が出てこないものだと知らない内に決め付けてた。
この「苛立ち」とか「反吐」とかを「もう一人の千春」の感情としてみれば、物凄く納得できる。



なるほど。上手いな。
掌返すようで申し訳ないけど、よくわかった。



ずーっと引っかかってたんだよ。
「千春」の心情としてはどうしても納得の行かない部分が。
だから物凄い消化不良な感じがしてたんだけど、ようやく繋がった。
謎は全て解けたよ、ジッチャン。

てかこれ、一読目から理解できる人いるのかな。
私は一読目の違和感を、読み返しながら考えまくってようやくわかったんだけど。
まあ、テキスト量からすると、ホントにささいな伏線レベルの話なんだ、私が気にしてたことって。
そんな些細なものをそこまで突き詰めて考える奴も少数派かもしれないね。
でも、千春の心を追いかける上では、どうしても避けて通れなかった。

うん。
これは勉強になった。
面白いね。

ただ、やっぱりわかりにくいとは思う。
別人格の感情をさりげなく挿入しているわけだけど、主人公の語りだけあって、それが別人格の感情であることに気が付きにくい。
主人公のDIDが判明した後でさえ、私は気付かなかった。
匙加減が難しいところだけど、もう少し主人公に違和感を持たせても良かったのでは。
つまり、「苛立ち」や「反吐」に対して、もっと自覚的に疑問を持つ、とか。
んで、主人公が自らのDIDに気付いた時、「あの違和感の正体はこれだったんだ」みたいな述懐があると、わかりやすくはなる。
わかりやすくはなるけど……どうなんだろう。
でもこれを、主人公に自覚させないで読者にだけ気付かせるのは、もっと難しいよ。
ま、気付く人は気付くんだろうけど、ここに全く気付かなかった奴がいるってことは事実です。



この話はこの辺にしておこうか。





謎が解けたってことで、私が感じた他のことも喋ろうと思います。

「幽霊になりたい」という千春の気持ちについて、私は私なりの解釈を書いたわけだけど。
私がそういう解釈をするには、それなりの理由があります。
私の解釈は、「もしこういうことなら理解できるし共感できる」という意味でもあります。
それってつまり、私自身のことなんだよ。
死にたいわけじゃない。
むしろ、死にたくない。
死ぬのは怖い。
だけど、生きている意味がわからない。
生まれた理由がわからない。
だから、何もかも消してしまいたい。
何もわからない、何物にも意味を感じない。
そのことが苦痛で。
そんな苦痛を、自分の存在ごと消してしまいたい。
私も、そういう奴だった。
だから、このゲームの全てのキャラクターの中で、多分千春が一番共感できるキャラ。
わかってしまうんだ。
死にたいわけじゃないけど、自分を苦痛ごと消してしまいたいって気持ちが。
いっそ頭がおかしくなって、何も感じない何も考えないモノになれればいいのに。
だけど、どんなに自分を殺しても、殺そうとしても、世界中から全ての色と意味が消え失せても。
どうしても、自分だけは消せない。
消しようがない自分が、そこにいるんだ。
千春が消そうとしていたもの。
消そうとして消しきれず、もがき続けたこと。
まるで、かつての自分を見ているようだった。

そんな風に共感してしまったからこそ、作中の微かな違和感が私の中では大きくなったんだと思う。

綾佳との出会いは、千春の世界に色彩をもたらしたんだと思う。
無味乾燥としていて無色の世界が、鮮やかに広がったんだと思う。
結末は、とても悲しいものだったけれど。

さすがにDIDはないけど、でも、千春の行く末は、もしかしたらあったかもしれない私の行く末。






こんなことをここで言うのもナンだけど。

実は、前々から考えていた。
もし、私がおかしくなったら。
そしたら、私にこう聞いてください。

「あなたは、誰?」

その時、もし、私がまだまともだったなら、きっとこう答えるから。

「私は、私だよ」










ヘンな話になってきた。
切り替えよう。

この話の怖さは、人間の怖さ。
死んだ人間より、生きてる人間の方がよっぽど怖い。
つーこと。
この千春シナリオだけは、オカルトじゃないし。
サイコですね、どっちかってゆーと。
実際、千春の交代人格のサイコっぷりは読んでいて楽しい。
立ち絵の顔芸も相まって、不気味さを存分に味わわせてもらえます。
というワケで、箱弐伍随一の顔芸キャラ、千春ちゃんの百面相をプレイバック。


箱弐伍画像09

箱弐伍画像10

箱弐伍画像12

箱弐伍画像11


これはごく一部に過ぎないですけど。
多分、全キャラ中、一番表情が多いキャラ。



よくできているとは思うけど、強いて不満を挙げるなら。
両親が空気過ぎる。
共働きで帰りが遅いってのはわかるけど、それにしたって無関心過ぎる。
と言うか、両親が子供に対して無関心であるという記述さえないのはどうかと思った。
栄子シナリオだったっけか。
子供に対する両親の影響の大きさを語ったような気がするけど、そこはもっと何かあっても良かったんじゃないか。
だって、子供の孤独なら、子供はまず両親に対して孤独を埋めてもらおうと動くと思う。
てか、完全に幼少時から一人暮らし状態なんだよね。
シナリオの都合上、両親の存在が邪魔だったから消したみたいに見える。
千春は確かにマジキチだけど、そんなマジキチが形成された家庭環境の描写は大事だと思うよ。

言ってしまえば、不自然。
んで、私はこういう不自然が嫌い。
興が醒めるから。




総じて。
オカルトを期待してはいけない話だけど、非常に面白く読むことができました。
DIDが判明してからは、ある意味予想通りだった鞄の中身。
ショッキングなラストで、エピローグへと続いていきます。





7 エピローグ

正直、ダメだと思った。
一番強く思ったことを言っていい?

六人目、いたんだ。

あらすじ流すよ。

五人の話が終わり、みんなの視線が六人目、即ち『私』へと注がれます。
しかし、『私』は何も語ろうとしない。
別に強制じゃないからそれもいい、と栄子がフォローします。
五人の雑談に背を向け、『私』は携帯を取り出しました。
警察に通報しようという試みを栄子に看破され、逆上した美夜子に首を絞められる『私』。
あわや窒息死というところで、千春が美夜子を刺します。
すぐさま栄子が飛び掛り、千春から刃物を奪おうとするも返り討ちに遭って死亡。
続けざま、千春は真尋を刺し殺しました。
なぜ、と問う紫織に「綾佳の新しい目が欲しい」と笑う千春。
成す術もなく、紫織が殺され、『私』にも刃物が突き立てられました。
しかし、千春か刺しっぱなしにしたため、出血が少なく死に切れない『私』。
新鮮な目の方が綾佳も喜ぶと、まだ息のある『私』の目をくり抜こうと、スプーンを持った千春が近付いてきました。



プロローグの時点で、私は三人称文体だと思ってたよ。
描写が客観的過ぎるし、自己紹介に至っても六人目は何も言ってなかったし。
それがエピローグになって突然「私」が出てくるって、超展開過ぎるでしょ。
ごめん。
おかげで失笑してしまって、全然怖くなかったわ。

いい?
ハッキリ言うけど、不自然。

こういう不自然は、興醒めでしかない。
それぞれのエピソードが良くできてたのに、台無し。

読者視点キャラだから個性を殺すっていうのは、確かに常套手段かもしれない。
だけど、そういう目的があったと仮定しても、やりすぎ。
プロローグでは、「私」という人称代名詞すら出てきてない。
ラストシーンで、生きたまま眼球をくり抜かれるところを被害者視点にしたかっただけでしょ?
薄いよ、薄い。
目論見が薄すぎる。

大体、こいつ誰なの?
冒頭のチャットのシーンでは、「hagoita」っていうHNのキャラが視点になってたけど、この六人目がコイツであるとはどこにも書いてない。
警察に通報とかいう行動から、「kisaragi」っていう可能性もあるけど、そんな描写はない。
ちなみにkisaragiは、チャットの中で自殺に対して否定的だった奴。
そんな奴がどうして自殺サイトに出入りしてるのかも謎だけど、これはまあ、別に不自然とまでは思わない。
んで、hagoitaは、「みんなが生き生きと楽しそうだから自分も一緒に自殺する」みたいな意味不明な動機でサイトに出入してた奴。
もしこいつが六人目ならば、ラストシーンはまさに自業自得。
だけど、六人目がどっちであっても、個性的だよね。
なのに、プロローグでは個性どころか存在自体を殺してる。
狙いからして謎。
読者視点キャラの個性を消したいの? 消したくないの? どっちなの?

このゲームに関する他の人の感想やらレビューやらを読んでいると、大体hagoitaが六人目とするのが一般的みたいだけど……ここはkisaragiと見た方がまだ話が繋がる気がする。
つまり、kisaragiは自殺を止めようとしてた。
最悪、警察に通報してでも止めようとしていた。
って考えれば、自己紹介シーンで名乗らなかったのも納得がいく。
場の空気として、「別に嫌なら名乗らなくてもいい」って感じだったし。
それにしたって、存在感まで消す意味はないと思うけど。
てか、存在感まで消したのは、狙ってやったっぽいんだよね。
そこまで徹底していたし。
エピローグで初めて「私」という人称代名詞が出た時も、二重かぎかっこだったし。
確かに、驚いた。
驚いたけど、不自然なだけで、プラスになる効果が何一つ見出せない。
無意味だと思う。
どころか、デメリットしかない。

そゆことやるんなら、エピローグできちんと六人目がkisaragiであることをわかるようにした上で、プロローグの時点では読者にhagoitaが来たと思わせる、っていう描写の方が面白かったし意味もあった。
そうすると、エピローグが始まった時に「いたんだ?」ではなく、「え、hagoitaじゃなくてkisaragiだったの!」っていう面白さが出る。

企画構想段階で、そういう話にならなかったの?
今までは不自然な点は「カットされたんだろうな」って思うことにしてたけど、これはそういう問題じゃない。
今のテキスト量を変えずにできることだから。


ホント、ため息が出るよ。
残念で。



それから、エピローグのシナリオ。
一回刺されて死ななかったんだったら、もっと転回して欲しい。
刺されて倒れて一回意識失って、危ういところで一命を取り留めて目を覚ましたなら、ここは転回のチャンスでしょ。
だけど、目を覚ましても結局千春の殺戮が変わるわけじゃない。
転回を予感させるシチュエーションなのに、起伏に乏しい。
大逆転しろとまでは言わない。
息を吹き返しても、結局絶望っていうのがこのラストの肝だと思うし。
何かもう一つ、工夫が欲しかった。
目をくり抜こうと迫る千春の上、エレベーターの天井板が一つ外れて、そこから邪視が覗き込んでるとか。

あと、エレベーターが突然止まったのも、実は千春が何か仕込んでたとか、そういう描写があってもいい。
どうせ「こんなに長時間止まってて誰も気付かないのはおかしい」とか鬼の首取ったように突っ込む奴がいるだろうし。
そもそも場所を決めたのは千春なんだし、そういう仕込があってもおかしくない。
これだって、テキスト量を増やさなくてもできるでしょ。多分。



それからさ、このエピローグじゃなくて、もっと根本的な不満があるんだけど、ここで言う。



なんで全員、若い女子なの?
自殺志願者の集まりで、ネット上で知り合ったんだから、当然お互いの素性なんかわからない。
件のチャットでは「詮索しない」ってルールがあったから、これは明らかだよね。
自殺を考える人はたくさんいるだろうし、老若男女様々だと思うし、様々であるのが自然だと思う。
なのに、どうしてたまたま集まった五人が全員若い女の子なの?
自殺志願者をランダムに五人ピックアップして、それが全員二十前後の若い女である確率や如何?
おかしいでしょ?
この異常な偏りは何なの?
不自然でしょ?
不自然は興醒めするから、私は大嫌いなんだよ。
で、作中でこの異常な偏りには一切触れられない。
当然、この偏りには必然性がない。
言いたくないけど、「萌え路線」を狙ってたとしか思えない。
そして、そうする意味があまりない。
ギャルゲーに女の子が少ないんじゃ話にならんけど、これ、ギャルゲ?
違うよね?
ホラーだよね?
登場キャラを全員若くて可愛い女の子にする必然性、皆無だよね?
もし、それでも可愛い女の子で揃えたいんなら、シナリオ的に必然性を持たせなさいよ。
千春が綾佳の新しい眼球を手に入れるため、という目的で同じ年くらいの女の子を集める必要があった、とか。
もちろん、これをやるならそういうテキストを本編に入れなきゃ。
それならそれで、千春がいかにしてネット上で集まった自殺志願者を選別して集めたかも、きちんと書かなきゃならない。

もちろん、これが全員イケメンとかでも、私の感想は変わらない。
全員若い女の子だから気に入らないんじゃなくて、不自然な偏りが気に入らないの。
その不自然さに対して、本編中で一切必然性を持たせてないのが気に入らないワケ。
女の方が多いってんならいい。
女しかいないというのも、まだ許せる。
でも、全員が全員妙齢っていうのはご都合主義としか思えない。

まあ、こういうことに目くじら立てるのも私くらいなもんだろうけど。





と、いうわけで、全体として見ると、プロローグとエピローグの出来の悪さのために評価は微妙。
凄く楽しめた。
だけど、手放しに「面白かった」と賞賛できない。
プロローグとエピローグ以外は面白かったんだけどね。

だけど、それでも、フリーゲームとしては充分な完成度だと思う。





以上。
大変長くなりましたが、フリーゲーム「箱弐伍遺体」の感想を終わりにします。
まともに全部読む人がいるとは思えないけど、一応。

最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。





ああ、うん。
一応自覚はある。
感想でここまで大量に書く私は、確かにちょっと異常だ。
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